獄中の松方と若山富三郎がシャバでの大学裏口入学で荒稼ぎする組織の存在を知り、脱獄して、美人の嫁(ジャネット八田)と共に組織のボスの娘(五十嵐めぐみ〈森田めぐみの名前〉)を誘拐、レイプしかけてしまう。娘の命と悪巧みを「ばらされたくなければ、十三東映の(笑)隣のホテルまで身代金持ってこんかい」、ところが失敗してまた投獄。凝りもせず脱獄して今度はボス宅に放火までやらかしてしまう。
監督は山下耕作。父娘の人情話も取り入れ泣かしてくれる脚本は高田宏治。
この松方と若山の凸凹コンビの逃走劇は終始笑わせてくれるが、同年公開の「新仁義なき戦い」(当館にて1月5日より上映)では病み上がりで松葉杖をつく松方さんが若山さんを射殺する場面(京都大宮東映の筋横でロケ)は凄まじく、若山さんはドラム缶に頭を突っ込まれてハチの巣にされるというショッキングなものだった。
俳優若山富三郎はこの時、松方さんの手によって一度死んだものだと同然。これまでの若山富三郎悪漢時代は終わった。
若山はこのあと「悪魔の手毬唄」「衝動殺人・息子よ」によって、これまでのイメージとは真逆な人間くさい性格俳優の道をたどります。
(新世界東映)