悪役スター総出演。大きな特色としては年頭より「仁義なき戦い」で実録やくさ映画の時代を迎え、それまでの任侠映画の鶴田浩二などが本作において、考えられないリアルとアクションに挑んでるところだ。
他に、宍戸錠、大木実、伊吹吾郎、南利明、汐路章、川谷拓三ら、対する看守側が安部徹、金子信雄、天津敏、山本麟一、遠藤辰雄といった配役陣。
「俺たちだって血の通った人間だ」と叫ぶ囚人たち。
しかし、よく見よ。囚人に重労働を強制して甘い汁を吸っている監獄をお仕事にされている連中のほうが凶悪な顔ぶれなのだ。
囚人役はほとんどフンドシ一丁の出で立ち、隣りの新世界ローズで上映しても良いほど、男色の濃い映画だ。
舞台になった三池集治監は実在した場所。実際に多くの囚人が非人道的に扱われたのだった。
小池朝雄の「仁義なき戦い」第1作風のナレーションが実録映画の雰囲気を醸し出す。
わずかながらお色気として登場する、ひし美百合子さんは、当初は横山リエにキャスティングされていた。ところが、ひし美さんがたまたま東映本社内でスタッフに見せてもらった本作の台本を読んで、「この役やりたい」と言ったのが、きっかけらしい。
日活の看板俳優宍戸錠が東映に初めて出演。東映になめられてはいけないという思いから半グレみたいな取り巻きを東京から連れて来て、セットの中でも宍戸を囲み周囲を威圧し、のちの「仁義なき戦い 完結編」の千葉真一の役を継いだ際、この時の緊迫感が東映の心を引いたとされる。
(新世界東映)