この映画も 1961年に第1部から第3部まで三部作として発表された作家 五味川純平の同名小説でテレビドラマや舞台にもなっている。
戦後急速に発展を遂げていく1960年代初頭の東京が舞台となっており、政財界と あるファッションの店を舞台に、繰り広げられる愛憎劇。
洋裁店で縫い子として働く乾百子(佐久間良子)は、狭いアパートに棲み、貧しい生活を送っていたが、。オーナーの愛人の事業が失敗し、多額の負債を抱え、売りに出されようとしていた。百子は あてもなく盛り場をうろついていると、外車に轢かれそうになり、その車に乗っていた男、千種梯二郎(天知茂)に声をかけられる。
千種はこの界隈に多数のナイトクラブやバーを経営していて その中の1店へ百子を案内する。
そして百子もまた千種に興味を持ち始め、大胆な提案を持ちかける。それは自分の体を担保にして、千種に洋裁店の負債金の投資を募ることであった。
こうして 2人は この大きな「賭け」に乗り出すのだが、自らの果てなき欲望、周囲の裏切りに翻弄され、運命は狂いだしていく。
借金だらけで失意にあるも 自分の美貌を武器に男を狂わせる小悪魔的な少女に、当時 19歳の大原麗子が好演。
この映画は 男と女の凄まじい駆け引きと情欲をスタイリッシュなモノクロームで見せる愛憎ドラマだ。
(新世界東映)